e- 文書法/電子帳簿保存法コラム

電子帳簿保存法早わかりガイド
基礎知識から導入まで全て分かります

改訂日:

第8回:3分でおさらい!e-文書法・電子帳簿保存法"まとめのまとめ"

本コラムでは、電子帳簿保存法について、最新の改正内容や、全体像、考慮すべきポイントなどについて書かせて頂きました。ここでは、第1回から第7回までのポイント、および補足情報をダイジェストでご紹介させて頂きます。最初から読んでくださった方には振り返りとして、はじめてご覧になる方には要点を理解する為に、ご活用頂けましたら幸いです。

【第1回】電子帳簿保存法とe文書法

電子帳簿保存法は1998年に施行された電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の通称で、さらに縮めて「電帳法」などと呼ばれます。簡単に言うと「税法上、原則は紙による保存が義務付けられている書類について、特例として電子保存を容認」してくれる法律です。その適用範囲は【1.帳簿】【2.書類】【3.スキャナ】【4電子取引】の4つ範囲に分けて取り決められており、近年のリモートワークの普及により改めて電子帳簿保存法への注目が集まっている状況です。

【第2回】保存要件の緩和とは

電子帳簿保存法の適用範囲【1.帳簿】と【2.書類】は自己が最初の記録段階から一貫してシステムで作成したものであり、電子帳簿保存法の要件を満たせば紙に出力して保存するのではなく、電子保存ができるというものです。【3.スキャナ】はその名の通り、紙をスキャナで電子化し原本を破棄する、という範囲になり【4.電子取引】は電子的にやり取りした取引情報の保存についての取り決めです。毎年のようにそれぞれの範囲における要件が緩和されています。

【第3回】認定タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子ファイルの日付のことではありません。日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ局が発行する「認定タイムスタンプ」のことです。これをスキャナで読み取ったデジタルファイルに付与する為には、認定タイムスタンプ局との契約、インターネット通信、タイムスタンプを付与するためのシステムが必要です。認定タイムスタンプの効果は、その時点で確実にデータが存在していたこと(存在証明)と、その時点以降データが改ざんされていないこと(非改ざん証明)を第三者が保証してくれることです。

【第4回】電子保存のメリットってなんだろう

電子帳簿保存法対応の動機は二つに大別されることがわかってまいりました。
一つ目は働き方改革、情報漏洩対策、コンプライアンス/コーポレートガバナンスといった「改革テーマの側面」となります。特に近年はリモートワークの急速な普及に伴い、働き方改革への対応を進める企業が増加しています。もう一つはまさに「コストの側面」です。紙の書類を授受しインデックス管理をするための人件費、取引先や倉庫に送る際の郵送費、倉庫で保管する際の倉庫費用などがあげられます。

【第5回】スキャンしなくても電子化できる書類ってあるの?

電子帳簿保存法の範囲は【1.帳簿】【2.書類】【3.スキャナ】【4電子取引】の4つです。要件緩和により近年【3.スキャナ】保存への取り組みが加速している状況ですが、対象が【2.書類】であるにも関わらず、すべて【3.スキャナ】保存しようとするケースが見受けられます。【2.書類】は自己が最初の記録段階から一貫してシステムで作成した書類の場合、その元データでの保存が許可されています。自社が顧客に郵送する請求書などがこれにあたり通常はコピーした控えを紙保存するのですが、これを電子保存する場合、電子帳簿保存法【2.書類】保存として元のデータを保存しておけばよいのです。これで控えの紙出力やコピーも不要になるのです。

書類の元データと控え

【第6回】電子帳簿保存法と電子取引データ保存。
来たるべき電子取引社会に向けた備えとは

電子帳簿保存法の4つの範囲のうち【1.帳簿】【2.書類】【3.スキャナ】の3つは紙の保存に変えて電子保存を開始するために、従来事前に税務署長の承認が必要でした。(令和3年度法改正以降は事前承認が不要になります。)しかし【4.電子取引】については元々申請がありません。これは【4.電子取引】に関しては、紙保存に変えて電子保存することの容認を受けるのではなく、電子帳簿保存法それ自体で電子保存が義務化されている為です。税務調査では、電子取引データは電子帳簿保存法新法第7条の要件を満たして保存していて当たり前、というスタンスで見られますから、保存に関してはとても注意が必要です。

令和3年度電子帳簿保存法改正により2022年1月以降に授受される電子取引データの書面保存が認められなくなり、また今後ますます電子取引は増加しますので、企業としては増え続ける電子取引データを電子帳簿保存法の要件を満たして保存するための備えが必要になってきます。

【第7回】電子帳票システムによる電子帳簿保存法「帳簿申請」、現在の改善指導の内容とは

1998年から可能となった電子帳簿保存法の【1.帳簿】の申請ですが、いわゆる「電子帳票システム」で申請されている企業が保存データの不備により、税務調査の際に指摘を受けるケースが散見されるようになってきました。電子帳簿保存法の観点からみると、電子帳票システムに保存されているデータは「一部のデータのみが編集された帳票イメージデータ」となることから電帳法上の保存対象のデータとは扱わない、という理由からです。電子帳簿保存法の趣旨は「帳簿データをすべて保存し検索できること」ですので、データを用紙に収めるための「レイアウト」は不要なのです。

最後に ~電子帳簿保存法と税務調査対応~

e文書法/電子帳簿保存法コラムを最後までお読み頂き、誠に有難うございました。紙保存に比べ電子データの保存では、特に検索において、その後の業務効率は格段に向上します。紙保存が原則である国税関係帳簿書類について、データ保存を容認してくれる電子帳簿保存法は積極的に活用するべきものだと思います。デジタルトランスフォーメーションの動きも加速しているように、すべての仕事、取引はデジタルに置き換わろうとしています。電子申告義務化の流れも、まさにこれです。企業としては、取引の記録ばかりでなく過去の業務が正しかったことをすべてデータで説明しなければならなくなったとき、そのデータは本当に正しいものなのかどうか?偽造、偽装されていないデータかどうか?自ら証明しなければならなくなる時代がくると思います。そのような時代の備えとして、電子帳簿保存法への取り組みは、初めの一歩になると考えています。電子帳簿保存法を活用して、皆様の業務が効率化され、継続的な事業の発展につながることを願っております。

さて、電子帳簿保存法の対応を検討されている企業様からこんな質問を受けることがあります。

「電子帳簿保存法の対応をして、データで税務調査を受けることになったら、不利になるのではないでしょうか?」

これは、税務調査という限られた時間内で、紙であればその調査範囲が限定されるのではないか?という考えによるものと思います。実際の税務調査では、まずその企業の内部統制そのものがしっかり機能しているかどうかの確認から入ると聞きます。税務調査において「自社のことがわからない」という状況は最も避けなければなりません。意思決定のプロセスやその結果、そして取引にかかわる記録について、いかに迅速かつ正確に答えられるかどうかも、調査官の心証に関わる、とても重要なポイントだと思います。そして今後は、信頼できるデジタル証跡を用いて、企業の方から能動的に、正しいことを証明する場になっていくのだと思います。

税務調査を担当する当局の職員数も不足していると聞きます。第4回でも触れましたが、そのような状況下で、内部統制が図られている企業とそうでない企業があった場合、今後当局がどちらに時間を割いていくのか、注目したいと思っています。

要件や事例につきましては、JFEシステムズが毎月開催するセミナーで詳しくご紹介しております。ぜひ、一度足をお運びください。

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当サイトに掲載されている内容は、掲載時点における情報であり、時間の経過により実際とズレが生じる可能性があります。また、著者の個人的な見解に基づいたものであり、当社の公式見解を表明しているものではありません。さらに電子帳簿保存法の充足を保証するものでもありません。 あくまでも参考情報としてご利用いただき、詳しい情報につきましては、担当の税理士や所轄の国税局等にご確認下さい。

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