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e- 文書法/電子帳簿保存法コラム

e-文書法/電子帳簿保存法徹底ガイド:
基礎知識から導入まで全て分かります

公開日:2017年8月2日

第4回:電子保存のメリットってなんだろう

早いもので、本連載も4回目となります。
ちょっとここで振り返りますが、前回までは、

について、ご紹介してきました。
それぞれの振り返りは、上記のリンクをクリックしてください。

電子帳簿保存法スキャナ保存要件の緩和により、国税関係書類の電子保存が身近になってきましたが、今回は「電子保存のメリット」について考えてみたいと思います。

最近、企業のご担当者様にお話を伺っていると、書類の電子保存に期待される効果・目的について「二つの側面」があると感じています。

コストの側面

一つ目は、オーソドックスな定量効果がわかりやすい領域です。
ここは数値化がしやすいので、良くシステム導入に関わる費用との比較がおこなわれます。

たとえば紙で保存する場合は、
書類を、

  • ①拠点から倉庫や本部に「送り出す」コスト(人件費)
  • ②拠点から倉庫や本部に「送る」コスト(輸送費)
  • ③倉庫や本部で「受け取る」コスト(人件費)
  • ④倉庫や本部で「整理整頓」するコスト(人件費)
  • ⑤倉庫や本部で保管する「場所」のコスト(倉庫費、賃料)
  • ⑥拠点や本部や倉庫で「検索」するコスト(人件費)

などなど、いわゆる紙の取扱に関わる物理的・人的コストですね。

効果は「紙の量」と「拠点の数」に比例する傾向がありますので、対象の紙の量が多い、または拠点の数が多い企業ほどメリットが大きい、と言えると思います。

改革テーマ

もう一つの側面は、企業の風土・業務を改善する「改革テーマ」としての取り組みです。ご面談させて頂く担当者様の御名刺にも、「改革担当」と言う肩書をお見かけする機会が増えてきました。

ご面談の中でも、下記のようなキーワードを良く耳にします。

  1. 働き方改革
  2. 情報漏えい対策
  3. コンプライアンス/コーポレートガバナンス

1.働き方改革

既に社会全体の取り組みとして定着した感がありますが、これは「時短への工夫」そのものですので、まず「紙を扱う時間」をターゲットにしている、と言うことでしょう。

ご存じの通り、紙の資料を探して回覧するのと、電子ファイルを検索して電子的に共有するのでは、生産性に大きな差が生まれます。

そして、電子帳簿保存法スキャナ保存申請をおこなうなら、とにかく紙をスキャンしなければ始まりません。いったん電子化してしまえば、以後は便利な事ばかりなのですが、最初のスキャナ操作を負担に思う方が多いとも聞きます。これは本当に「慣れ」の問題が大きいと思います。複合機のシートフィーダもどんどん高性能化していますし、胸ポケットに入るような小型スキャナ、製本を崩さず冊子をスキャンできるパーソナルスキャナも販売されています(※1)。最新スキャナの購入等、スキャンが日常的におこなわれるような環境づくり、これも働き方改革を推進する第一歩かもしれません。

※1:電子帳簿保存法の要件を満たすスキャナかどうかは、各メーカのWebサイト等でご確認ください。

2.情報漏えい対策

個人情報漏えい事故の話題が良くニュースになりますが、日本ネットワークセキュリティ協会の2016年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(※2)によると、漏えいの経路として、紙媒体がまだ半分近くを占めているというデータがあります。

※2:
特定非営利活動法人 日本ネットワークセキュリティ協会
別タブで開きますhttp://www.jnsa.org/
2016年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書
◆本編【Ver1.2】[2017.7.10]
別タブで開きますhttp://www.jnsa.org/result/incident/

国税関係帳簿書類は、原則「紙」保存が義務付けられているのですが、電子帳簿保存法の申請が承認され、適切に電子保存することにより、「紙」を破棄することができます。

情報漏えい対策の観点から、電子保存に取り組むと言うのも頷ける気がいたします。

3.コンプライアンス/コーポレートガバナンス

電子帳簿保存法の申請をおこなうと言うことは、国税関係帳簿書類を適切に電子保存する、と言うことですから、これは税務に関わるコンプライアンス/ガバナンスの強化に繋がる取り組みと言って良いでしょう。国税庁では、税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好な法人については、各種条件のもと、調査間隔を延長するような取り組みが始まっていると聞きます(※3)。後の回でも触れますが、来たる電子取引社会に向けて、適切な「電子データの保存環境」を保持することは、これからの企業にとって、とても重要なことだと思っています。

※3:国税庁ホームページ
税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について(事務運営指針)より
URL:別タブで開きますhttps://www.nta.go.jp/law
/jimu-unei/sonota/160614/index.htm

企業毎にさまざまな目的をもって、電子帳簿保存法スキャナ保存申請に取り組まれている状況と思います。申請も、書類の種類や業務範囲毎に分けておこなうことができますので、一番効果が高いところから始める、と言うのも良いのではないでしょうか。

10年後の未来

堅い話が続きましたが、最近、企業のご担当者様と良くこんな話になります。

「国税関係書類の保存期間は7年ですが、欠損金の繰越控除をしている法人は、平成30年度から最長10年の保存が必要になるようです。(岩瀬)」
「この領収書、10年後読めますかね?(ご担当者様)」
「紙は、保存環境が悪いと劣化しますので、注意が必要ですね。(岩瀬)」
「10年後か・・・苦笑。(ご担当者様)」

インターネットで「10年後の未来」と検索してみると面白いのですが、欧米では国を挙げた火星への有人飛行計画の話が結構出てきます。10年後の新人経理部員は、想像もつかないデバイスでコミュニケーションをしているかも知れません。人類が火星に到達するかもしれない未来、彼らにこの領収書の廃棄を指示するのは、さすがに気が引けるのではないでしょうか。

電子帳簿保存法スキャナ保存申請、早い方が良さそうです。

第4回、最後まで読んで頂き有難うございました。
次回は「スキャンしなくても電子保存できる書類ってあるの? ~法第4条2項の書類について~」を予定しています。

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当サイトに掲載されている内容は、掲載時点における情報であり、時間の経過により実際とズレが生じる可能性があります。また、著者の個人的な見解に基づいたものであり、当社の公式見解を表明しているものではありません。さらに電子帳簿保存法の承認や電帳法要件の充足を保証するものでもありません。 あくまでも参考情報としてご利用いただき、詳しい情報につきましては、担当の税理士や所轄の国税局等にご確認下さい。

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