e- 文書法/電子帳簿保存法コラム

電子帳簿保存法早わかりガイド
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第4回:電子保存のメリットってなんだろう

最近、企業のご担当者様にお話を伺っていると、書類の電子保存に期待される効果・目的について「二つの側面」があると感じています。

改革テーマ

一つ目は、企業の風土・業務を改善する「改革テーマ」としての取り組みです。特に昨今の社会情勢の変化を受けて在宅勤務が普及し、業務のペーパーレス化を喫緊の課題とする企業が増えていると感じています。
また、ご面談の中でも、下記のようなキーワードを良く耳にします。

  1. 働き方改革
  2. 情報漏えい対策
  3. コンプライアンス/コーポレートガバナンス

1.働き方改革

2020年度、新型コロナウィルス感染症対策のためリモートワークを導入することになった企業が急増しました。想定外の対応に四苦八苦しながら、何とかリモートワークの導入に踏み切った企業も多いのではないでしょうか。

しかしリモートワークを導入したのはいいものの、いざやってみるとリモートでは業務を進められない、なんていうケースがあるようです。代表的なのが経理部門様にて証憑の確認が必要になる業務ですね。原則紙での保存が義務ですので、電子化していない場合は取引先の照会への対応や決算業務時など証憑の確認が必要な場面ではわざわざ出社しなければならない、ということになります。

リモートワークをスムーズに進めるためには出社せずに必要な帳簿、書類を速やかに確認、利用し業務が出来る必要があります。帳簿、スキャナ、電子取引データ、それぞれの保存要件を満たした状態で電子化を進め、効率的に業務で活用することでリモートワーク環境は大きく向上するのではないかと思われます。

また全国的にリモートワークが普及したため、取引先との書類のやり取りも従来の郵送ベースからメールベースに移行しつつあります。メールで受領した取引関係書類は電子取引データに相当しますので、法要件に沿った対応が必要になります。電子取引データの保存については後ほど詳しくご説明します。

2.情報漏えい対策

個人情報漏えい事故の話題が良くニュースになりますが、専門機関の調査によると、漏えいの経路として、紙媒体がまだ半分近くを占めているというデータがあります。
国税関係帳簿書類は、原則「紙」保存が義務付けられているのですが、電子帳簿保存法の要件を満たし適切に電子保存することにより、「紙」を破棄することができます。
情報漏えい対策の観点から、電子保存に取り組むと言うのも頷ける気がいたします。

3.コンプライアンス/コーポレートガバナンス

電子帳簿保存法の対応をおこなうということは、国税関係帳簿書類を適切に電子保存する、と言うことですから、これは税務に関わるコンプライアンス/ガバナンスの強化に繋がる取り組みと言って良いでしょう。国税庁では、税務に関するコーポレートガバナンスの状況が良好な法人については、各種条件のもと、調査間隔を延長するような取り組みが始まっていると聞きます(※1)。
後の回でも触れますが、来たる電子取引社会に向けて、適切な「電子データの保存環境」を保持することは、これからの企業にとって、とても重要なことだと思っています。
企業毎にさまざまな目的をもって、電子帳簿保存法対応に取り組まれている状況と思います。保存も、書類の種類や業務範囲毎に分けておこなうことができますので、一番効果が高いところから始める、と言うのも良いのではないでしょうか。

※1:国税庁ホームページ
税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組の事務実施要領の制定について(事務運営指針)より
URL:別タブで開きますhttps://www.nta.go.jp/law
/jimu-unei/sonota/160614/index.htm

電子帳簿のデジタル保存による業務改革メリットには「コスト削減」「テレワーク推進」などがある

コストの側面

二つ目は、オーソドックスな定量効果がわかりやすい領域です。
ここは数値化がしやすいので、良くシステム導入に関わる費用との比較がおこなわれます。

たとえば紙で保存する場合は、書類を、

  • ①拠点から倉庫や本部に「送り出す」コスト(人件費)
  • ②拠点から倉庫や本部に「送る」コスト(輸送費)
  • ③倉庫や本部で「受け取る」コスト(人件費)
  • ④倉庫や本部で「整理整頓」するコスト(人件費)
  • ⑤倉庫や本部で保管する「場所」のコスト(倉庫費、賃料)
  • ⑥拠点や本部や倉庫で「検索」するコスト(人件費)

各拠点から本部倉庫に書類が運ばれている様子

などなど、いわゆる紙の取扱に関わる物理的・人的コストですね。
効果は「紙の量」と「拠点の数」に比例する傾向がありますので、対象の紙の量が多い、または拠点の数が多い企業ほどメリットが大きい、と言えると思います。

10年後の未来

堅い話が続きましたが、最近、企業のご担当者様と良くこんな話になります。
「国税関係書類の保存期間は7年ですが、欠損金の繰越控除をしている法人は、10年以上の保存が必要になるようです。(当社)」
「この領収書、10年後読めますかね?(ご担当者様)」
「紙は、保存環境が悪いと劣化しますので、注意が必要ですね。(当社)」
「10年後か・・・苦笑。(ご担当者様)」

インターネットで「10年後の未来」と検索してみると面白いのですが、欧米では国を挙げた火星への有人飛行計画の話が結構出てきます。10年後の新人経理部員は、想像もつかないデバイスでコミュニケーションをしているかも知れません。人類が火星に到達するかもしれない未来、彼らにこの領収書の廃棄を指示するのは、さすがに気が引けるのではないでしょうか。

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当サイトに掲載されている内容は、掲載時点における情報であり、時間の経過により実際とズレが生じる可能性があります。また、著者の個人的な見解に基づいたものであり、当社の公式見解を表明しているものではありません。さらに電子帳簿保存法の充足を保証するものでもありません。 あくまでも参考情報としてご利用いただき、詳しい情報につきましては、担当の税理士や所轄の国税局等にご確認下さい。

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