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電子帳簿保存法早わかりガイド
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公開日:2017年11月16日

更新日:2020年2月18日

第7回:電子帳簿保存法と電子取引データ保存。
来たるべき電子取引社会に向けた備えとは

第5回「スキャンしなくても電子保存できる書類ってあるの?」の回で、電子帳簿保存法の4つのカテゴリ【1】帳簿、【2】書類、【3】スキャナ、【4】電子取引について触れさせていただきました。今回は【4】電子取引のお話です。

1.容認?義務?

電子帳簿保存法を上記4つカテゴリの視点で整理していくと、それぞれ要件が異なることがわかるのですが、興味深いのはそれぞれの位置付けです。【1】帳簿、【2】書類、【3】スキャナの三つは各種税法で原則「紙」保存が義務付けられているところを、電子帳簿保存法が電子保存を「容認」してくれる位置付けです。非効率な紙保存を電子保存に変えられるわけですから、こちらは是非活用しましょう!という話になるわけです。

これに対して、【4】電子取引はちょっと位置付けが違います。電子取引は電子帳簿保存法(法第10条)で「電子保存が義務付けられている、電子保存の要件が定められている」という事、ご存知でしょうか。

電子帳簿保存法第10条

「所得税及び法人税の保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

2.電子取引データ保存の落とし穴

国税庁のWebサイトでは、電子帳簿保存法の申請書は【1】帳簿、【2】書類、【3】スキャナの3種類しかありません。【4】電子取引の申請書がないのです。うっかりすると、電子取引データ保存は「申請書出さなくて良いから楽だなあ...」と安易に考えてしまうのですが、ちょっと怖い話だと思いませんか。

【1】帳簿、【2】書類、【3】スキャナの申請は申請書提出から「みなし承認」となるまでの3か月間、要件不足による差し戻しがあり、期間中やきもきするのですが、逆に開始前に当局が確認してくれるプロセスがある、と考えることもできます。

電子取引データ保存は、このプロセスが無いんですね。税務調査等で電子取引データは「電子帳簿保存法の要件を満たし、保存していて当たり前」と言うスタンスで見られますから、電子取引データの保存は、企業が電子帳簿保存法の要件を満たしているかどうか、自主点検をするしかないのです。

3.電子帳簿保存法「電子取引データ保存」の要件と考慮ポイント

要件を簡単にまとめてみました。

1 保存場所

納税地

納税地で参照できればクラウドサービスも可
2 保存期間

7年※

帳簿、書類、スキャナと同じ
3 要件

①関連書類の備付け

例:電子計算機処理システムの概要を記載した書類(自社開発の場合)等

②見読性の確保

例:ディスプレイ、プリンタ、操作説明書を用意する等

③検索性の確保

1)取引年月日、その他の日付け、取引金額その他の国税関係帳簿の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定できること

2)日付または金額に関わる記録項目については、その範囲を指定して条件を設定できること

3)二つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できること

4 措置

A)認定タイムスタンプの付与および保存を行うもの、もしくはその者を直接監督する者の情報の確認ができること

B)正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規定を備付け運用する

※欠損金の繰越控除を利用している法人は最長9年(2018年4月以降は最長10年)

一つめのポイントは「③検索性の確保」です。なにやら「データ検索要件」のようなことが書かれているのですが、以下、電子帳簿保存法取扱い通達の記載が参考になります。

平成17年2月28日付課総4-5ほか8課共同
「『電子帳簿保存法取扱通達の制定について』の一部改正について」(法令解釈通達)等の趣旨説明について
第4章 電子取引 法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))関係
(電磁的記録等により保存すべき取引情報)
10-1 法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))の規定の適用に当たっては、次の点に留意する。

(注)いわゆるEDI取引において、電磁的記録により保存すべき取引情報は、一般に「メッセージ」と称される見積書、注文書、納品書及び支払通知書等の書類に相当する単位ごとに、一般に「データ項目」と称される注文番号、注文年月日、注文総額、品名、数量、単価及び金額等の各書類の記載項目に相当する項目となることに留意する。

注目すべきは(注)の部分です。要約すると、「保存すべき取引情報はデータ項目です」と言いうことですから、注文書であれば注文内容について上表の3-②の条件で検索できなければならないと言うことになります。たとえば注文書がPDFでやり取りされるケースは、PDFファイルをファイルサーバに置いておくだけではNGということです。

二つ目のポイントは、4.措置のA)、B)です。これは二択なのでA)、B)どちらを選んでも大丈夫、ということになります。「認定タイムスタンプ」の利用には費用が掛かりますから、コストの面からB)を選択する、という考え方もありますが、最近少し様子が変わってきました。2017年7月に電子帳簿保存法Q&Aが一新され、ここにはじめて、電子取引データ保存にかかわる事務処理規定のサンプルが記載されました。
電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)。

こちら、かなり詳細なもので驚きました。サンプルといえ、当局のWebサイトに掲載されているものですから、今後指標になっていくと考えると、このレベルの規定を作成・運用するのは社内手続き的にもシステム的にも結構大変だな...という印象を持った次第です。A)、B)の選択肢、ちょっと悩む時代になったと思います。

4.来たるべき電子取引社会に向けて

上述、規定のサンプル公開の背景を推察するに、当局としても電子取引データの保存について関心が高まっているのだと思います。インターネットは今後ますます、生活やビジネスの中心になっていきますから、向かうところは「完全電子取引社会」と言っても大袈裟ではないかもしれません。スマートフォンなどによる電子決済のニュースを目にすることも多くなり、紙幣(現金)もいつかはなくなるのではないかと思うくらいです。

直近では、スキャナ保存を検討されるお客様がいったん立ち止まって電子取引化を検討されるケースが増えてきています。「そもそも紙を発生させない」という考え方ですね。スキャナ保存規制緩和を契機に電子取引化も加速するのではないかと思います。

そうなると、電子帳簿保存法「電子取引データ保存」の重要性はますます高まっていくはずです。企業としても膨大な電子取引データを、真実性や証拠力を担保しながら、安全に保持していくことに関心が高まるのではないでしょうか。その備え、皆様はできていますか?

次回は『問題発生!過去に「みなし承認」となった電子帳票システムによる、電子帳簿保存法「帳簿申請」。現在の改善指導の内容とは。』を掲載をいたします。

要件や事例につきましては、JFEシステムズが毎月開催するセミナーで詳しくご紹介しております。ぜひ、一度足をお運びください。

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