紙を正本として保管する業務形態は変わる必要性がありました
- ― DataDelivery導入前の課題について教えてください。
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従来、当社の業務は紙を中心に進んでいました。請求書や注文書などの証憑類については紙が「正本」であり、電子データは副次的な「写し」という位置づけでした。仮にメール添付などで請求書が送られてきた場合でも、それを印刷し、印刷した紙を正本として保管していました。
このような業務形態は、「デジタル化が進む現在において非効率であり、改革するべきでは」という意見も社内でありました。しかし、正直なところ紙を基本とする仕事の進め方でも業務は問題なく進んでおり、改革に踏み出すまでの動機が得られませんでした。
「紙中心の業務を変えたいと考えました」
松原 慎吾 氏ここで変化への契機となったのが、先述した当グループの長期ビジョンE-Vision2030の策定と新型コロナ感染症の拡大、そして電子帳簿保存法の改正です。
2020年に発表した長期ビジョンE-Vision2030では、社会・環境価値と経済価値の両方を向上させ、荏原グループの企業価値を高めることを目標としています。そのためには、デジタル技術を駆使して新しい価値を創出することや、新ルール・システム設計による業務プロセス最適化の必要性を感じており、紙を正本とする従来の業務に対しても全社的な業務の効率化、DX化への変革が求められていました。
また、新型コロナ感染症の拡大の対策として、当社でも在宅勤務が導入されました。しかし紙を基軸にして仕事を進めていると、一枚の書類を取りにいくためだけの出社が生じてしまう。これは生産性、社員の健康管理の両面においてよいことといえません。
さらに、2022年に電子帳簿保存法が改正されるとの発表がありました。改正後は電子データが正本とみなされることになり、従来の紙を正本として保管する業務形態は変わる必要がありました。
法改正への対応として、当初はファイルサーバを用いた保存を行っていました。ただ、暫定措置でしたのでシステム連携をせずに、日付、相手先名、金額など約10項目の検索データを手入力で登録していました。また、業務システムとは別に登録することの手間やファイルサーバのファイル保存数の上限値制限などもあり、暫定措置での対応は限界を感じていました。
この3点が原動力となり、本社を含む国内43社の証憑類を一元的に電子保管するプロジェクトの立ち上げが決まりました。プロジェクトの目的は紙を処理するためだけの不必要な出社をなくし会社全体のペーパーレス化を促進することと、生産性を向上させることとしました。電子帳簿保存法改正への対応はきっかけのひとつではあるものの、在宅勤務の推進など従業員のベネフィット向上を重視して進めていくこととしました。
本プロジェクトは、全社的なプロジェクトとしてCFO(最高財務責任者)とCIO(最高情報責任者)の両名がプロジェクトオーナーとなりました。また、プロジェクト推進のため外部のプロフェショナルコンサルタント、現場への周知浸透や利用定着化を進めるため業務改革部のリーダーをPMOに配置し、万全の体制で臨みました。
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