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公開日:2020年1月21日

<解説>SKJ総合税理士事務所
所長・税理士 袖山 喜久造 氏

【第3回】消費税インボイス制度に係る請求書等の取扱いについて

I.適格請求書等の保存義務

2023年10月から導入される消費税インボイス制度は、消費税課税事業者が事前に適格請求書発行事業者登録を行い、税務当局から通知された登録番号を適格請求書等(請求書や領収書若しくは納品書など)に記載して適格請求書等を発行することが必要となります。当該適格請求書の交付を受けた事業者は、現状の消費税の税務処理と比較してより厳格な処理が必要となり、これらを電子化により対応を行うことが望まれます。

1.適格請求書等を受領した事業者の保存義務

消費税インボイス制度においては、仕入税額控除の要件として適格請求書等を受領した事業者(買い手側)が書面又は書面の交付に代えて交付を受けた電磁的記録(以下、「電子インボイス」といいます)のデータを保存しなければ、仕入税額控除の適用を受けることができません。

なお、請求書発行事業者から受領した請求書等が適格請求書等の要件を満たす記載事項が欠落している場合でも、請求書等を受領した受領者側で作成された仕入明細書等の書類で、相手方の確認を受けている書類や、請求書発行事業者が交付する請求書等と相互に関連性を持たせた見積書や納品書等の書類の保存と合わせて保存することで、適格請求書等の記載事項が確認できる場合には、適格請求書等の保存があるものとして認められます。

2.適格請求書等の発行事業者の保存義務

消費税インボイス制度においては、適格請求書等の発行事業者(売り手側)は、取引先の求めに応じて交付した書面の適格請求書等の控え又は適格請求書等の交付に代えて交付した電子インボイスのデータの保存義務を課しています。

また、適格請求書等の記載要件を満たしていない請求書等を事業者に交付した場合、ほかに交付した書類等により適格請求書等の記載事項が確認できる場合の当該書類の控え又は当該書類の交付に代えて交付した書類のデータについても保存することが必要となります。

法人税法では、請求書等を含む取引書類について、取引相手方に交付した取引書類で写しのあるものはその写しを保存することを義務付けています。同条では、写しを作成しない場合の当該書類の控えの保存義務までは課されていませんが、新消費税法のインボイス制度では、事業者が適格請求書等を発行した場合には、当該適格請求書等の控えを保存することが義務付けされます。

3.適格請求書等の保存期間と保存場所

課税仕入れの適用を受けようとする事業者は、帳簿及び請求書等を整理し、当該帳簿については消費税確定申告書の申告期限の翌日から、請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の消費税確定申告書の申告期限の翌日から起算し7年間、これを納税地又は取引に係る国内の事業所等で保存することになります。

保存期間は、法人税法では保存義務のある帳簿書類の保存期間の起算は事業年度単位であるのに対し、消費税法では課税期間単位となります。課税期間の特例の承認を受けている事業者は、それぞれの課税期間単位で保存期間満了日が異なりますが、法人税の納税義務者である場合には、消費税法で規定されている保存期間よりも長くなる場合があるので注意が必要です。

II.電子インボイスに係る電磁的記録の保存義務

電子インボイスは、電帳法10条で規定される電子取引に該当し、新消費税法の保存義務と合わせて電帳法においても保存義務が課され、保存に当たっては財務省令(電帳法施行規則8条1項)で定める保存方法により保存しなければなりません。

1.電子インボイスのデータの保存要件

(1)保存場所と保存期間

電子インボイスのデータは、受領者側、発行者側の双方の納税地若しくは国内の事務所、事業所等(以下「納税地等」といいます。)で保存します。データは納税地等にデータが保存されていない場合であっても、納税地等において通信回線等により当該電子インボイスのデータがディスプレイの画面及びプリンタへ速やかに出力することができるときは、当該データは保存場所に保存等がされているものとして取り扱われます。

電子インボイスは、受領した日又は発行した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存しなければなりません。

(2)電子インボイスのデータ保存上の措置

電帳法施行規則8条1項では、電子取引に係る電磁的記録の保存にあたっては、以下の2つのいずれかの措置を行い保存することとしています。

①タイムスタンプ付与及び保存担当者情報の確認
電子インボイスデータの授受後、遅滞なく当該データにタイムスタンプ を付し保存担当者等の情報が確認することができるようにすること。

②事務処理規程の整備
電子インボイスのデータについて「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」を定め、当該規程に沿った運用を行い、当該規程を備え付けること。

電子インボイスのデータ保存に当たっては、上記2つの措置のうち、②の措置を行うことが現実的です。当該規程の作成に当たっては、国税庁ホームページに掲載されている電子帳簿保存法Q&A(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)問61に掲載されている規程例を参考に作成することができます。

なお、令和2年度の税制改正大綱においては、上記の2つの方法に加え、以下の2つの方法が追加することとされており、今後改正されることが予定されています。

イ.発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法

ロ.電磁的記録について訂正又は削除を行った日及び内容を確認することができるシステム(訂正削除ができないシステムを含む)において、その電磁的記録の授受及び保存を行うこと。

(3)保存の際の要件

電帳法施行規則第8条第1項においては、電子取引の電磁的記録の保存方法について、以下の要件を規定しています。

 ①関係書類の備付け

電子インボイスの授受においてEDIシステムなど専用のシステム等を使用する場合には、システムの開発に当たり作成された関係書類(自社開発システムに限ります)の備付けと保存、システムの概要が記載された書類の備付けを行うことが必要となります。

 ②見読性の確保

電子インボイスのデータの内容を見読することができるように、納税地若しくは税務調査を受ける場所にパソコンやソフトウエア、プリンタなどの機器やこれらの操作説明書を備え付け、データをディスプレの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力することができるようにしておくことが必要です。

 ③検索機能の確保

電子インボイスに係るデータの記録事項を以下の項目等で検索できる機能を確保しておくことが必要です。

イ.取引年月日、その他の日付、取引金額、その他主要な項目(請求年月日等、請求金額、取引先名称、登録番号等)を検索の条件として設定することができること。

ロ.日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。

ハ.二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること。

電子インボイスに係るデータの保存形態は様々ですが、検索機能を確保するには、電子インボイスに関連する帳簿のデータ等を検索し、検索結果に関連付けされた電子インボイスの画像等を表示させる方法があります。

業務システムや会計システム内で保存される仕訳データを電子インボイスデータと関連付けして保存する方法や、関連する帳簿のデータから電子インボイスの検索に必要な項目をインデックスとして抽出し、抽出された検索項目のデータと電子インボイスデータを関連付けすることによりDataDeliveryなどで保存する方法が考えられます。

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