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<解説>株式会社ユニリタ エンタープライズレポーティング部
部長代理 帳票エバンジェリスト 小柳 晶 氏

【第3回】お客様ヒアリングから探る現在のITトレンド

私たちユニリタはパッケージソフトウェア製品・クラウドサービス通じてお客様の業務課題の解決をITの力で支援しています。営業は、お客様との面談で業務課題をヒアリングし、その内容は活動記録として日々蓄積されています。
今回は、この活動記録をテキストマイニングした結果から見えてくる「ITトレンド」のお話をさせていただきます。

はじめに、2019年に実施したテキストマイニングの結果をご覧ください。

2019年テキストマイニングの結果

[2019年調査結果]

その当時は「DX化に向けたシステム刷新」「働き方改革」「コスト削減」といったキーワードが多く上がっていました。これは2018年9月に経済産業省から発表された『DXレポート』を契機にDXへの関心が急速に高まったこと、2019年4月に施行された『働き方改革法案』を背景に各企業が働き方改革に力を入れていた時代背景が見えてきます。

次に2023年に実施した約2,600件のお客様面談記録を元にテキストマイニングした結果を見てみましょう。

2023年テキストマイニングの結果

[2023年調査結果]

お客様面談記録から抽出したキーワードで特に多かったものが以下になります。

  • データ活用
  • カスタマーサクセス
  • クラウド活用
  • 帳票

2019年で最も関心が高かった「DX」は現在では会話の中で登場する機会は少なくなり、「データ活用」が最も台頭してきています。しかしDXへの関心が必ずしも薄れたわけではありません。「データのデジタル化」「システムのデータの連携」「マスター統合」などのDXを推進する手段としてのキーワードも目立ってきていることから、各企業は業務のデジタル化(デジタライゼーション)の段階に移行してきており、より具体的な課題の解決に関心が移ってきているためと考えられます。

また、2019年では非常に多かった「働き方改革」も今回の調査では大きく減少しています。
2020年からはじまったコロナ禍により、リモートワークへの対応が急速に進み、柔軟な働き方に対応できるインフラが整ってきたことが背景としてあると考えます。
「コスト削減」といったキーワードもお客様との会話の中であまり聞かなくなった言葉の1つです。こちらも『2025年の崖』に向けた攻めのIT投資を行う準備として2019年当時は各企業でコスト削減が掲げられていた背景がありました。
現在は「データ活用」などの新たな課題がクローズアップされ始めており、順調にDXを推進している企業が多いことがわかります。

ここからは最も多く登場したキーワードである「データ活用」と、電子帳簿保存法やインボイス制度にも関連して話題として上がることが多かった「帳票」に焦点を当てて話を続けさせていただきます。

2023年は、改正電子帳簿保存法を契機に、請求書などの帳票を紙媒体から、デジタルへの移行が活性化したため、多くの企業が業務システムや帳票出力運用プロセスを再検討する動きも活性化しました。
「帳票」を中心としたキーワードの相関図が以下になります。

「帳票」を中心としたキーワードの相関図

「帳票」を中心としたキーワードの相関図

関連するキーワードとして、「データ活用」「デジタル化」「マスターデータ」などのデータのデジタル変換に関わるキーワードが現れています。
また、「クラウド活用」や「自動化」「業務効率化」「業務フロー」などの効率化や最適化に関するキーワードも「帳票」には関連しています。
これらの傾向から「帳票」には、「データのデジタル化」「業務の最適化・効率化」という明確なトレンドが浮かび上がってきます。このトレンドをもう少し掘り下げて話をしていきます。

データのデジタル化

DXを促進させるためには、単に紙媒体の帳票を電子化するだけでは不十分です。
アナログデータをデジタル化することで、検索・分析を容易化するだけでなく、デジタル化したデータを元に迅速な意思決定を行うなど、データ活用としての幅も拡がります。
社外への発送だけでなく社内の業務指示に利用する帳票は、業務を円滑に進めるために重要な役割を持っており、その元となるデータは大変重要な情報です。このデータを二次活用するためのデータ活用基盤を構築し、迅速な意思決定に利用するだけでなく、業務プロセスのデジタル化(デジタライゼーション)に繋げていくことが大変重要です。

  • 企業がDXの具体的なアクションを設計できるように、DXを3つの異なる段階に分解する
  • これらは必ずしも下から順に実施を検討するものではない
経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)

[出典:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)」]

業務の最適化・効率化

業務の最適化を行うためには、業務プロセスを見直すことが重要です。
業務プロセスの効率化を妨げる要因としてよく挙げられるのが業務の属人化です。担当者の病気により業務が滞るなどのリスクマネジメントの観点からも早急に対策を打たなければなりません。

属人化改善のためには、まず担当者のノウハウに依存している業務を言語化・可視化することが必要です。業務フローを描いて可視化し、手順書を作成して言語化することで、担当者の頭の中にしかなかったノウハウを第三者にも理解することができるようになります。これが業務効率化に向けた自動化やシステム化につなげるための第一歩になります。
さまざまな業務の中でも、特に業務効率化を実施しにくい業務の一つとして挙げられるのが、請求書などの書類の配送業務です。

請求書や納品書などの対外的な帳票は、取引先のニーズを取り入れた複雑な運用を行っているケースが多く、電子化もなかなか進まず、残ってしまう紙帳票の運用業務のために印刷機器の維持や、人的資源の確保など多くの課題が残存してしまいます。
そして『取引先ごとに配送方法(郵便、宅配便、速達など)が異なる』や、『特定の取引先宛ての郵便物は通常配送から抜き取る』などの担当者のノウハウに依存した特殊な運用を行うことも多く、業務効率化の足かせになっています。

私たちユニリタは、このような複雑化した紙帳票業務を含めて、電子化からWeb配信、さらには電子帳簿保存法対応に至るまで、帳票の課題をまるごと解決する、「まるっと帳票クラウドサービス(https://marutto-chohyo.unirita.co.jp/)」をリリースしています。

紙運用の課題解決や、電子配信サービス選定のポイントなどの情報も発信していますので、是非ご覧ください。

最後に

今回はお客様面談でよく出てくるキーワードから企業のITトレンドの話をさせていただきました。多くの企業が着実にDXに向けて大きく歩みを進めており、新たなIT課題に対面していることがお判りいただけたのではないかと思います。
これからもITの力は皆様の業務環境を大きく進歩させ、新たな価値を生み出していくこととなるでしょう。

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