スペシャルインタビュー第2弾

安心で社会生産性の高い電子文書情報社会の
構築を目指して
日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の役割と取り組み

公開日:2018年7月19日

前編

【テーマ2】スキャナ保存の要件緩和に関する取組み

――スキャナ保存の要件は2015 年、2016年と2年連続して緩和されています。
税制改正そのものは政府や国税庁がおこなっていますが、JIIMAとしては、どのように取り組まれてきたのでしょうか。

関心の高い皆様はご存知のように、スキャナ保存申請というのは、なかなか浸透しませんでした。我々は当初、もっとすごい速さで浸透すると思っていました。

というのも、企業で保管している紙の書類の5割は国税関係書類です。金融業界では、7割にも上ると言われています。

例えば、工場の設備プラントの改修をおこなった、その図面も税務関係書類です。地方税になりますが、固定資産の償却開始の根拠となる書類です。この設備のここを改修し、改修費用がいくら、いつから稼働開始かを証明する大事なエビデンスになります。

長濱 和彰 氏

――固定資産税の償却資産は、納税者側が申告する必要があり、エビデンスになるわけですね。

規制緩和前(2005年~2014年)にスキャナ保存申請を進めようとした企業は多くありましたが、その当時、国税庁では適正な税務申告が妨げられるリスクの方を問題視しており、ほとんど受理されませんでした。申請しても通らなかった。岩盤規制とも呼ばれるくらい、規制が厳しかったわけです。

ところが、2010年頃から、潮目が変わり始めました。世界中で電子化が進んでいく中で、日本だけが遅れてしまう。これではいけないと政府も国税庁も気づいたのですね。

この2010年の時点で、スキャナ保存の累計承認件数が61件ですから、2005年からの5年間ではほとんど進んでいなかったわけです。1年でわずか、約12件のペースですね。

――そのような状況に対して、JIIMAの活動はどういったものでしょうか?

JIIMAでは、早くから具体的な税制改正要望を出して、ホームページにも公開していました。

余談になりますが、税制改正要望というのは、様々な団体・個人から毎年何千件も提出されるものです。しかしながら、もちろん全ての要望には応えられませんから、重要な順に対応されていくわけです。

JIIMAでは、2011年にスキャナ保存要件緩和の検討開始が閣議決定されたのを皮切りとして、2013年の内閣府規制改革会議において3万円以下という規制や電子署名が必須というルールが電子化を妨げていることを強く訴え、委員全員の賛成を取り付けました。こうして、2015年の規制緩和に繋がったわけです。

最終的には、JIIMAが提出した要望は、ほとんどが反映されています。

――スマートフォンで撮影した領収書は、翌年の2016年に容認されました。非常に早かったですが、どのような理由でしょうか?

スマートフォンで撮影した領収書については、ベンダー側の要望もあり、早くから検討が始まりました。どのような形ならできるか提案してほしいという依頼もあり、政府も本格的に電子化へと舵取りをしました。

実は、この規制緩和については、ベンダー側だけでなくJIIMAに相談に来られたユーザーの強い働きかけが後押しになりました。そのように、JIIMAやベンダー、ユーザー側の様々な立場から進言されたことが、早期実現につながったと思います。

JIIMAは、堂々と不合理を訴え、是正すべきところを世論に問い、改革を進めています。

橋本 裕之

税務書類スキャナ保存 規制緩和の道

※JIIMA資料から抜粋

――規制緩和が進んで本当に良かったと思います。ほとんどの紙を電子化できるというのは、確かに働き方を変える大きな後押しになりますね。

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