安心で社会生産性の高い電子文書情報社会の
構築を目指して
日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)の役割と取り組み
公開日:2018年7月19日
前編
【テーマ1】JIIMAの事業内容、沿革
――まずは、JIIMAの事業内容、沿革を教えてください。
通称JIIMAは、正式名称を「公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会」といいます。
今から、60年前の1958年に「日本マイクロ写真協会」として発足しました。戦後の高度成長期のスタート期に、造船・鉄道・建設などの図面を紙ではなく、マイクロフィルムに縮小して保管する、これを日本に普及するための取組みから始まりました。
――60年も前から、紙をどう圧縮して保管するか、これに取り組んでこられたのですね。
はい、ご存じのとおり、データはこの60年の間に、フィルムメディアへの記録から、電子的な記録に移り変わり、今はインターネットやクラウドと、新しいソリューションビジネスが進んでいますね。JIIMAもその変遷に合わせて「マイクロフィルム写真協会」から「日本画像情報マネジメント協会」、そして「日本文書情報マネジメント協会」と、協会名称や果たす役割も、社会の変化に合わせて変わってきました。
――現在は、どのような活動をされているのですか?
JIIMAは、2013年に公益社団法人として認定を受けています。これは、内閣府の厳しい審査を受けて認められているということを示しています。公益目的事業として何をするのか、これを内閣府に提出し、審査を受けているわけです。本来、国がやるべき仕事を民の立場で進めていく、これが認められている法人となります。
2018年4月29日には、理事長の高橋通彦が旭日小綬賞を受賞いたしました。高橋個人への勲章ですが、これもひとえに会員企業様や私共職員を含め、JIIMAの活動の栄誉と受け止めております。
JIIMAでは、「文書情報管理の普及啓発」を大きな柱に据えて、以下の3つの活動を行っています。
JIIMAの公益目的事業の3本柱について
調査、開発
- 文書情報マネジメントに関する規格作成、標準化
- 文書情報マネジメントに関する技術・市場調査
- 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件の認証事業
普及、啓発
- 機関誌 月刊IMの発行(年12回)
- 展示会、セミナーなどの実施
- 文献、図書の発行(編集事業)
人材育成
- 文書情報管理士、文書情報マネージャーなどの認定制度
調査、開発について
――調査、開発とは何ですか?
これは、各種委員会で協議された情報を社会に情報発信する、政府に政策提言する、知的活動の原点になります。そこから生まれてくる成果を社会に還元していく活動です。
例えばですが、電子帳簿保存法 第10条の電子取引は、適格にルールに従って進められていないケースも見受けられます。ユーザー企業が正確に電子保管できてなかったなど、不幸なことにならないように、きちんとルールを作り、ガイドラインを作成するなどの活動を行っています。
普及、啓発について
――機関紙の発行をはじめ、様々な取り組みをされていますね。私もよく「月刊IM」を拝見しています。
「月刊IM」は、協会の創業とほぼ同時にスタートし、今日まで続いています。文書情報管理の雑誌として、これだけ長期的に継続しているものは世界でも珍しく、国会図書館でも重要な研究文献となっています。「月刊IM」に掲載される論文は、科学学術論文として認められています。
もちろん、実務に役に立つ情報を提供できるよう、事例を多く掲載するように努めています。
また、「月刊IM」以外にも研究調査等の資料や、ガイドラインなど多数の情報をインターネット上に公開しています。
JIIMAの公開資料例
月刊IM https://www.jiima.or.jp/im/
政策提言・ガイドライン https://www.jiima.or.jp/activity/policy/
電子帳簿保存法第10条「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存」に関する開設書第2版(2016年10月)
など多数
――3つ目は人材育成ですね。私も「文書情報管理士」の資格を取得しましたが、そのような活動ですね
文書情報管理士は、上級・1級・2級のクラスから構成され、1万数千名が資格を取得しています。文書の作成から保管、廃棄までの過程(文書のライフサイクル)や、企業の部署ごとに作成される書類の種類と役割、文書保管にかかわる様々な法律、規格などの知識を検定する資格です。
――新入社員の方にとっても、一般常識として役に立ちそうですね。
もう一つの資格は、文書情報マネージャーです。こちらは、ユーザー組織の中で文書管理の責任を担う管理者層の育成を目的とした資格です。文書管理の根底にあるのは記録管理ですが、組織としてきちんと全体が管理されている、このためには「誰が」、「何を」、「いつ」、「どのように管理すると適切か」、「こんなことを理解している」という証明になります。
実は、欧米には必ず「レコードマネージャー」という職種があり、事業部門のトップやサブが担っています。欧米は訴訟社会の為、こうした自衛が図られていないと大変な損害を被ることがあります。日本企業においても、訴訟対象になるケースもあり、対策が必要となります。企業として、自社がきちんと管理していることを証明するために、エビデンスを出さなくてはならないわけです。
――残念ながら、今の日本企業の多くは、そこまでの意識はありませんよね?
そうですね。今日、文書の偽造や紛失などの失敗事例はニュースでも多く見かけますが、文書管理がきちんとできていなかったが為に、数百億円単位の賠償を払うような失敗を繰り返すのはやめよう、ということで顧問弁護士の先生と共に組織の失敗事例を交えながら、欧米で言うレコードマネージャー相当の資格として、文書管理マネージャーを広めています。
JIIMAの活動について、とてもよく分かりました。
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