電子帳簿システムスペシャルインタビュー第4弾

テレワークを通じて、
多様性のある働き方が実現できる社会へ

公開日:

後編

前編では、【テーマ1】緊急事態宣言後のテレワーク、見えてきた課題」についてお話を伺いました。
後編では、電子化社会に向けた法整備や、多様化していく働き方についてお話いただきました。

【テーマ2】文書の電子化とテレワークで、多様化する新しい働き方とは

――在宅勤務者の意識はもちろん、私たちを取り巻く環境も変化しているのですね。
これからテレワークはどう変わっていくのでしょうか?

田宮:
先に申し上げた通り、「テレワーク=在宅勤務」ではないんですよね。感染症拡大をきっかけにして急速にテレワークが普及しましたが、結果として、そのメリットを多くの方に感じていただけたのではないかと思います。
私たちはテレワークの普及のみを目的としているわけではないのです。テレワークを通じて、働き方改革を進めている。そちらが大切です。

――テレワークを手段として、働き方改革を進めていく。そちらがポイントですね。

ワーケーション

田宮:
その通りです。例えば、欧米では「ワーケーション」という働き方が定着しています。「ワーク(仕事)」+「バケーション(休暇)」=「ワーケーション」ですが、休暇中に仕事をすることに対して、日本人はすごく抵抗がありますよね?

――そうですね、抵抗はありますね。

田宮:
大半の日本人の感覚はそうだと思います。ですが、このワーケーションをもっと柔軟な働き方のひとつとして、受け止めていただきたいです。
例えば、長期旅行を計画した際、お父さんだけ仕事の都合で日程を繰り上げて早く帰らなくてはいけない。こんなケースでも、ワーケーションであれば、休暇中どうしても出ないといけない会議だけWEBで参加して、その後は休暇を継続することができるのです。結果として、家族との時間を大切に過ごすことができます。
また別の例では、年末年始で帰省をされる方は多いと思いますが、帰省ラッシュでどこもすごく混みますよね。ワーケーションを取り入れることによって、混雑する時期をずらして早めに移動し、帰省先等から数日テレワークをして、そのまま休暇に入ることもできますし、年明けも数日テレワークをしてからゆっくり戻ってきてもいい。休暇延長とは違い、休暇の前後にテレワークをすることによって、混雑や渋滞のストレスを避けることができるようになります。

――なるほど、テレワークが普及することで年末年始の過ごし方が変わりそうですね。

田宮:
ワーク+バケーションを取りやすい形にすることによって、企業にとっては従業員の健康経営にもつながりますし、離職率の抑止や優秀な人材を確保することができます。

田宮 一夫 氏

さらに発展すると、ワーケーションで長期滞在するための地方型サテライトオフィスを創り、その地域の人々や文化に触れあっていただく。そこで、新しいアイディアが生まれて、新規事業を創生していく、なんて働き方も選択肢となります。
普段のコミュニケーションを変えて、共に過ごすことで、地域の方々との絆が深まるなど、良い点もありますよね。同時に、いま日本が抱えている問題である地方の地域活性化にも一役買うことができます。

――柔軟な働き方ができるメリットは、様々ですね。このような新しい働き方を始めるためにも、文書の電子化が必要不可欠です。2020年10月、電子帳簿保存法の改正がありましたが、主な内容について教えてください。

甲斐荘:
今回の法改正で、電子取引の保存要件の選択肢が増えました。従来は、電子的に受領した請求書や領収書は、受領側がタイムスタンプを押すか、改ざん防止のための事務処理規程を作成して運用するという要件でした。それが、発行側がタイムスタンプをつけた場合も容認されたのと、訂正削除の履歴が残る(またはできない)クラウドサービスを利用することでも保存要件を満たすことになりました。経理業務のペーパレース化の後押しになると期待しています。

イメージ

――ありがとうございます。電子化社会に向けて法整備も進んでいるのですね。

甲斐荘:
また、ご存知の方も多いと思いますが、JIIMAでは、電子帳簿保存法の「帳簿」と「スキャナ」の保存要件についてJIIMA認証というのを行っています。これは、ベンダー各社のソフトウェア製品を法令に準拠しているかという観点から、JIIMAが審査を行い、認証を行っている制度です。JIIMA認証を取得しているソフトウェアを導入すれば、電子帳簿保存法の承認申請を一部簡略化することができます。
何より、「電子化を検討しているけれどどうしたらいいのか」という方でも、安心して電子化・システム化を進めていただけます。

そして、JIIMAでは、今回法改正のあった「電子取引」や、発行する側の「書類控え」についても、新たな認証制度を準備しているところです。

――取引先に請求書を電子で発行する方法と、紙で郵送する場合の社内控えの管理の方法ということですね。

甲斐荘:
そうですね。まず、電子取引の取引情報の保存は申請ではなく「義務」に当たるので、電子保存の中でも少し毛色が異なります。JIIMA認証を取得することによって、電子取引のシステム的な法令要件を満たしていることが利用者に明示できますので、安心して仕組みを使っていただける、というのが一番かなと考えています。

甲斐荘 博司 氏

また、電子取引の場合は双方が合意しないと進めにくいですが、社内の書類の控えは、相手方を気にせず、すぐに進められることがポイントですね。まずは書類の控えの電子化を始めて、段階的に電子化を拡大していただくというのが、進めやすいと思います。

田宮:
テレワークの助成金申請でも、経産省や総務省、東京都などの承認要件がホームページ等に掲載されていますが、そういうのが分かるととても進めやすいですよね。

――最近、文書の電子化を検討されるお客様が増えていますが、検討されるポイントが多いと思います。
アドバイスがございましたら、お願いします。

甲斐荘:
企業における文書情報の電子化というのは、ただ電子化しました、というだけでいいと言うわけではないですよね。様々な法令の要件を満たして保存するとか、もちろん、必要なものが必要な時に即座に取り出せることも非常に重要になってきます。こうした取り組みでは、最終的には「人的なノウハウ」が一番重要になってくる、と感じています。
文書管理を推進する方や携わる人がきちんと知識を持って取り組むことはとても重要であり、JIIMAではそうした認識から、利用者が体系的に文書管理に必要な知識を得られるように「文書情報マネージャー」という資格をご用意して、資格取得セミナーを定期的に開催しています。

――どういった内容の資格でしょうか?

甲斐荘:
本資格は、JIIMAの講師や弁護士の講習を受けていただくことで資格を認定しています。講習では、企業内で文書情報(紙文書・電子文書)のマネジメントを立案し実行するために必要な 知識を深めていただけますし、さらに各企業の課題も持ち寄りワークショップも開催していますので、大変参考になると思います。
また、資格者向けに定期的に勉強会を開催しています。関係部門の皆様で課題を共有いただき、理解を深めていくことで、企業として活用できる場を目指しています。

テレワーク導入などにより、ますます企業の文書情報の信頼性を確保しながら管理していくことの重要性が増していきます。自社の文書情報が適切に管理できているか、こうした視点を持っていただくことは非常に大切です。

――テレワークは今後、定着し、働き方改革を進めるうえでの大事な手段だと感じました。
最後にメッセージがございましたら、お願いします。

田宮:
先ほども申し上げましたが、日本テレワーク協会が目指しているのは、「全国・全業種・全職種に、テレワークを導入する」ということではないんです。テレワークは導入することが目的ではなく、「働き方改革を実現するための手段」であると考えています。

テレワークの導入に向けて取り組みを進めると課題もたくさん出てきます。業務のプロセスを見直していただき、無駄な仕事はやめていただく、対面を避けた新しい業務プロセスの在り方を取り入れる、そういったメッセージをこれからも発信していきます。
また、少し未来へ目を向けると、5G(第5世代移動通信システム)が普及してくれば、データ通信スピードが格段に上がりますから、どんどん新しい働き方につながっていくと思います。

サテライトスペースや自宅以外のテレワークだけでなく、製造現場でMR(複合現実)ゴーグルをかけて、現実世界とCGを合成させた映像を見ながら作業を行うといったものもテレワークのひとつなんですよね。これから、テレワークは日本に定着していき、多様性のある働き方が選べる時代が来る、と期待しています。

――貴重なお話をありがとうございました。

田宮 一夫 氏と甲斐荘 博司 氏

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