文書情報マネジメントの在り方と
JIIMAの取り組みについて
公開日:
前編
【テーマ1】JIIMAビジョンで目指す社会の実現とは
―― 安保:当社では国税関係書類に関する製品開発などを手掛けており、製品のJIIMA認証や法務委員会活動などでお世話になっております。まずは、協会の沿革について教えてください。
甲斐荘 氏:
1958年に日本マイクロ写真協会として創立、1962年に日本マイクロ写真協会が社団法人として認可されました。その後、1995年に社団法人日本画像情報マネジメント協会(略称 : JIIMA)に改称し、2013年に公益法人として認定を受けました。現在は公益社団法人日本文書情報マネジメント協会として活動しています。今年で創立から65周年を迎えることになります。
―― 安保:技術進歩の流れに合わせて、協会名も変わっているのですね。
黒柳 氏:
設立は日本マイクロ写真の業界団体から始まりました。創立のきっかけとなった紙文書をフィルムに撮影したマイクロフィルムから、金融機関でも第3次オンラインシステムが普及して大量の元帳データなどを取り扱う必要が出たことで、出力帳票を直接撮影するCOMに変わり、圧縮率やデータの互換性など利便性が向上しました。その後、帳票イメージをパソコンに表示する電子帳票システムへと変わっていきました。時代の流れに合わせて、協会名も変わってきました。
―― 安保:文書情報マネジメントの普及啓発を目的とされていますが、事業内容はどうなっていますか。
甲斐荘 氏:
文書情報とは範囲が広く、紙文書を電子化して専用装置で閲覧するところからスタートしましたが、静止画、動画、音声、メール、SNSなど様々な電子データが対象になったことで、デジタル技術を活用した文書情報マネジメントに広がっています。
黒柳 氏:
「文書情報マネジメント」の普及啓発を目的に設立され、主要な活動としては以下を実施しています。
・文書情報マネジメントに関する法的規制の緩和推進
・文書情報マネジメントに関する製品・ソフトウェア等の認定
・文書情報マネジメントに関する各種セミナーなどの開催
・文書情報マネジメントに関する調査研究
・文書情報マネジメントの標準化 JIS(日本産業規格)原案作成、ISO/TC171国内審議
・文書情報管理士ならびに文書情報マネージャーの資格制度の運用
・文書情報マネジメントの参考書、テキスト類の編集発行
・機関誌「IM」編集発行
ttps://www.jiima.or.jp/about/about_jiima/
―― 安保:協会の体制はどうなっているのでしょうか。
黒柳 氏:
現在の会員数は、維持会員178社、一般会員19社、合計197社となっています。
全会員で構成される総会のもと、運営協議会、監事協議会、理事会などと共に各種の委員会が設置され協会を運営しています。委員会としては、調査・開発系委員会、人材育成系委員会、普及啓発系委員会があり、20の委員会を設置して先ほどの事業を行っています。各委員会のメンバーは基本的にJIIMA会員で、必要に応じて弁護士・税理士などの有識者の方にも参加をお願いしています。
―― 安保:文書情報マネジメントの普及啓発に貢献する貴協会のビジョンを公表されています。
黒柳 氏:
JIIMAビジョン2020では、『日本のあらゆる組織の価値を高めるために、文書情報マネジメントの実践を通じてDXを加速するようにリードする協会』と定義しました。
―― 安保:ビジョンに込められた思いを教えてください。
甲斐荘 氏:
JIIMAは日本の社会や企業が生産的であって、個人としては豊かさや幸せを感じることができ、若い人たちも将来に対して希望が持てるような、そういった社会の実現に役立ちたいと考えています。
「ビジョンの達成を通して社会に貢献すること」として、効率的かつ持続可能であって、すべての人が必要な時にデジタル技術の支援を得て、自由な働き方を選択し、時間や場所の制約なく仕事ができ、効率的でかつ人間らしい生活を送れる社会の実現がビジョンに込めた思いとして裏にあります。
―― 安保:具体的には、どういった活動を進められるのでしょうか。
黒柳 氏:
具体的な施策は先程お知らせした各委員会にて検討しておりますが活動の対象とする範囲は下図の通りです。組織において文書情報マネジメントを正しく行い、その活動を組織に定着させ、かつ活動を改善していくために必要とされる要素を楕円で示しています。また、その各要素に対して、現在提供している価値を楕円の外に、今後提供していきたいと考えている価値を※で示しています。
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前編はここまでとなります。
>>後編では「【テーマ2】JIIMAの取り組みとこれからの文書情報マネジメント」についてお話を伺います。