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e- 文書法/電子帳簿保存法コラム

電子帳簿保存法早わかりガイド
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公開日:2018年2月6日

第9回:10分でおさらい!e-文書法・電子帳簿保存法"まとめのまとめ"と税務調査対応について

本コラムでは、電子帳簿保存法について、最新の改正内容や、全体像、考慮すべきポイントなどについて書かせて頂きました。この第9回をもちまして最終回となりますので、今回は、第1回から第8回までのポイント、および補足情報をダイジェストでご紹介させて頂きます。最初から読んでくださった方には振り返りとして、はじめてご覧になる方には要点を理解する為に、ご活用頂けましたら幸いです。

1.電子帳簿保存法とe文書法【第1回】

最近よく聞く「e文書法対応」とは、「電子帳簿保存法の"スキャナ保存要件"の緩和」に伴う企業の税務関係書類の電子化に向けた取り組みのことです(e文書法の改正ではありません)。電子帳簿保存法は1998年に施行された、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の通称で、さらに縮めて「電帳法」などと呼ばれます。簡単に言うと、「税法上、原則は紙による保存が義務付けられている書類について、特例として電子保存を容認」してくれる法律です。その適用範囲は【1.帳簿】、【2.書類】、【3.スキャナ】、【4.電子取引】の4つ範囲に分けて取り決められています。2015年、2016年に【3.スキャナ】に関する要件が立て続けに緩和されたことにより、電子帳簿保存法への注目が集まっている状況です。

2.スキャナ保存要件の緩和とは【第2回】

電子帳簿保存法の適用範囲【1.帳簿】、と【2.書類】は、自己が最初の記録段階から一貫してシステムで作成したものであり、電子帳簿保存法の要件を満たせば、紙に出力して保存するのではなく、電子保存ができるというものです。【4.電子取引】は電子的にやり取りした取引情報の保存についての取り決めです。【3.スキャナ】は、その名の通り、紙をスキャナで電子化し、原本を破棄する、という範囲になります。たとえば、相手から紙で受け取る請求書や納品書、経費・旅費の領収書などがこれに該当します。もともと紙でしか存在しない原本を破棄することになりますので、当初、その要件はとても厳しいものでした。

【旧要件の抜粋】

  1. 金額制限(領収書、契約書について3万円以上はNG)
  2. 原稿台付きのスキャナ機器のみ使用可
  3. 電子署名
  4. タイムスタンプ

順番に見ていきますと、まず記載される金額により電子化できるものと、そうでないものを分ける運用はかなり煩雑です。そしてデジカメ、スマホがこれだけ普及しているにも関わらず、スキャナ機器は原稿台付きのもの、つまりガラス面が書類に接するスキャナしか許可されていませんでした。さらに、電子署名はスキャンをおこなう個人に紐づく「実印相当の電子証明」ですので、これもまたコスト、運用が大変負担となるものでした。2015年、2016年の改正では、主にこの1、2、3が普及を妨げていると判断され、要件が緩和されたのです。

新要件としては、主に下記2つを考慮すればよい形になりました。

  1. タイムスタンプ
  2. 適正事務処理要件

タイムスタンプは継続要件、適正事務処理要件は新要件として追加されました。

3.認定タイムスタンプとは【第3回】

継続要件となったタイムスタンプとは、電子ファイルの日付のことではありません。日本データ通信協会が認定する事業者(タイムスタンプ局)が発行する「認定タイムスタンプ」のことです。これをスキャナで読み取ったデジタルファイルに付与する必要があり、その為には、認定タイムスタンプ局との契約、インターネット通信、タイムスタンプを付与するためのシステムが必要です。認定タイムスタンプの効果は、その時点で確実にデータが存在していたこと(存在証明)と、その時点以降データが改ざんされていないこと(非改ざん証明)を第三者が保証してくれることです。

4.電子保存のメリットってなんだろう【第4回】

様々な企業様から、電子帳簿保存法対応のご相談をお受けするのですが、その動機は二つに大別されることがわかってまいりました。一つ目はまさに「コストの側面」です。例をあげるならば、

  1. ①拠点から倉庫や本部に「送り出す」コスト(人件費)
  2. ②拠点から倉庫や本部に「送る」コスト(輸送費)
  3. ③倉庫や本部で「受け取る」コスト(人件費)
  4. ④倉庫や本部で「整理整頓」するコスト(人件費)
  5. ⑤倉庫や本部で保管する「場所」のコスト(倉庫費、賃料)
  6. ⑥拠点や本部や倉庫で「検索」するコスト(人件費)

などなど、費用対効果を計算しやすいテーマです。

もう一つは、企業の風土や業務改善を目的とした「改革テーマの側面」です。
最近はこちらが増えてきたように思います。

具体的には、

  1. ①働き方改革
  2. ②情報漏えい対策
  3. ③コンプライアンス/コーポレートガバナンス

などに繋げるために、電子帳簿保存法対応に取り組まれる企業様が多くいらっしゃいます。

5.スキャンしなくても電子化できる書類ってあるの?【第5回】

電子帳簿保存法の範囲は【1.帳簿】、【2.書類】、【3.スキャナ】、【4電子取引】の4つです。
【3.スキャナ】の要件緩和により、近年企業の電子帳簿保存法への取り組みが加速している状況ですが、対象が【2.書類】であるにも関わらず、すべてスキャンしようとする企業様がいらっしゃいます。【2.書類】は自己が最初の記録段階から一貫してシステムで作成した書類として、その元データでの保存が許可されている範囲となります。自社が顧客に郵送する請求書などがこれにあたるのですが、通常はコピーした控えを紙保存します。これを紙保存に替えて電子保存にするならば、コピーした控えをスキャンするのではなく、電子帳簿保存法【2.書類】の申請をして、元のデータ保存しておけばよいのです。これで、控えの出力やコピーも不要になるのです。

6.スキャナ保存申請の入力方式「業務サイクル後すみやかに入力」について研究しよう【第6回】

電子帳簿保存法の【3.スキャナ】の申請にあたっては、スキャンをする方法と期限について細かく取り決められています。入力期限について、現在最も多く選択されている「業務サイクル後速やかに入力」について、ポイントをまとめると以下になります。

書類受領後、2カ月とおおむね7営業日以内に、受領者以外の者による画像と原紙の比較確認やタイムスタンプ等を含んだ「入力」を終わらせる。受領者以外の者による画像と原紙の比較確認をしない業務フローの場合は、タイムスタンプ付与期限がおおむね3営業日以内に短縮され、さらに自書による署名も必要になる。

7.電子帳簿保存法と電子取引データ保存。来たるべき電子取引社会に向けた備えとは【第7回】

電子帳簿保存法の4つの範囲のうち【1.帳簿】、【2.書類】、【3.スキャナ】、の3つは紙の保存に変えて電子保存を開始するためには所轄の税務署への申請をおこない、みなし承認を受けることが必要です。申請書は国税庁のホームページで公開されています。【4.電子取引】については申請書がありませんが、これは【4.電子取引】に関しては、紙保存に変えて電子保存することの容認を受けるのではなく、電子帳簿保存法それ自体で電子保存が義務化されている、為です。税務調査では電子取引データは、電子帳簿保存法第10条の要件を満たして保存していて当たり前、というスタンスで見られますから、保存に関してはとても注意が必要です。

今後ますます電子取引は進みますので、企業としては増え続ける電子取引データを、電子帳簿保存法の要件を満たして保存するための備えが必要になってきます。

8.電子帳票システムによる電子帳簿保存法「帳簿申請」、現在の改善指導の内容とは【第8回】

1998年から可能となった電子帳簿保存法の【1.帳簿】の申請ですが、いわゆる「電子帳票システム」で申請されている企業が、保存データの不備により、税務調査の際に指摘を受けるケースが散見されるようになってきました。プリンタスプールをサーバに保存し、ネットワーク経由で電子参照できる電子帳票システムは、1990年代初頭より普及が始まったと聞いておりますが、1998年の電子帳簿保存法施行を受けて、この電子帳票システムで【1.帳簿】の申請をしている企業様が該当します。

電子帳票システムは、プリンタスプール=印刷データを保存し、その中身の項目データを検索することができますので、一見、問題無いように見えるのですが、電子帳簿保存法の【1.帳簿】申請の観点からみると、電子帳票システムに保存されているデータは、「印刷するために選択、整形されたデータ」という扱いになります。電子帳簿保存法の趣旨は、「帳簿データをすべて保存し検索できること」ですので、データを用紙に収めるための「レイアウト」は不要なのです。

最後に ~電子帳簿保存法と税務調査対応~

e文書法/電子帳簿保存法コラムを最後までお読み頂き、誠に有難うございました。紙保存に比べ電子データの保存では、特に検索において、その後の業務効率は格段に向上します。紙保存が原則である国税関係帳簿書類について、データ保存を容認してくれる電子帳簿保存法は積極的に活用するべきものだと思います。デジタルトランスフォーメーションの動きも加速しているように、すべての仕事、取引はデジタルに置き換わろうとしています。電子申告義務化の流れも、まさにこれです。企業としては、取引の記録ばかりでなく過去の業務が正しかったことをすべてデータで説明しなければならなくなったとき、そのデータは本当に正しいものなのかどうか?偽造、偽装されていないデータかどうか?自ら証明しなければならなくなる時代がくると思います。そのような時代の備えとして、電子帳簿保存法への取り組みは、初めの一歩になると考えています。電子帳簿保存法を活用して、皆様の業務が効率化され、継続的な事業の発展につながることを願っております。

さて、電子帳簿保存法の申請を検討されている企業様からこんな質問を受けることがあります。

「電子帳簿保存法の申請をして、データで税務調査を受けることになったら、不利になるのではないでしょうか?」

これは、税務調査という限られた時間内で、紙であればその調査範囲が限定されるのではないか?という考えによるものと思います。実際の税務調査では、まずその企業の内部統制そのものがしっかり機能しているかどうかの確認から入ると聞きます。税務調査において「自社のことがわからない」という状況は最も避けなければなりません。意思決定のプロセスやその結果、そして取引にかかわる記録について、いかに迅速かつ正確に答えられるかどうかも、調査官の心証に関わる、とても重要なポイントだと思います。そして今後は、信頼できるデジタル証跡を用いて、企業の方から能動的に、正しいことを証明する場になっていくのだと思います。

税務調査を担当する当局の職員数も不足していると聞きます。第4回でも触れましたが、そのような状況下で、内部統制が図られている企業とそうでない企業があった場合、今後当局がどちらに時間を割いていくのか、注目したいと思っています。

連載コラムは今回で最終回となりますが、次回は特別企画として国税OBで、電子帳簿保存法の第一人者である税理士 袖山喜久造氏へのスペシャルインタビューを掲載させていただきます。企業の電子帳簿保存法への取り組みにまつわる最新事例、今後の動向、税務調査への備え等について、たくさんのお話を伺う予定です。どうぞご期待ください。

要件や事例につきましては、JFEシステムズが毎月開催するセミナーで詳しくご紹介しております。ぜひ、一度足をお運びください。

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当サイトに掲載されている内容は、掲載時点における情報であり、時間の経過により実際とズレが生じる可能性があります。また、著者の個人的な見解に基づいたものであり、当社の公式見解を表明しているものではありません。さらに電子帳簿保存法の承認や電帳法要件の充足を保証するものでもありません。 あくまでも参考情報としてご利用いただき、詳しい情報につきましては、担当の税理士や所轄の国税局等にご確認下さい。

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